ひさしぶりに料理をしているが、実に手際がよくない。
何に関してもそうではあるけど、
頭ではわかっているのに、行動に移せない。
そこでもったりしてこそ自分、という暗示というか呪いというか、大げさに言うほどのことでもないが、ある種ちいさな恐怖がある。
冷蔵庫から取り出したいくつかのたまごを、
熱したフライパンから離れたところに置く。
そこからひとつひとつ運んでは、フライパンの横で割り入れる。
最初からすべてガスコンロの横に出していればこんな二度手間にはならないのに、
なぜか妙な一段階を加えて、それを修正しようとしない。
一度こうしたからには、もうこうするしかない。
それが自分なのだ。
という妙なこだわりというか、やはり
自分はスマートにものをこなしてはならないという呪縛がはたらく。ふしぎ。